ひつじたちの反乱(プロローグ)
何処か遠くから、蝉の鳴き声が聞こえた気がした。
新橋駅の改札口を出て、約束の噴水の前に佇んでいると、眉間に皺を深く刻んだままで通り過ぎる人や、目も空ろで足取りの重そうな者ばかりが目に入る。 噴水の周りには、待ち合わせの人々が大勢いるが、何か不安げで暗い様に思える。
広告塔のワイドスクリーンは、あいも変わらず、あまりの暑さで思考力が萎んでしまった頭にも、無意味と思えるコマーシャルを流し続けている。その脇を、ニュースのテロップが流れる。
黒ずんだ鳩の群れが、10羽ほど、噴水の水を飲んだりして戯れている。
僅か5,6分の間だが、雑踏の中で、脇の下を流れ落ちる汗を意識の片隅で感じながら、「俺は、今何をしているんだろう・・・」「俺は、何者なんだ・・・」と、正体不明の怒りの感情と不安が襲いかかって来る。
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